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つまみ細工を介護施設へ届ける|介護レクリエーション講師 インタビュー

つまみ細工とは江戸時代から伝わる技法で、薄絹の「羽二重」を正方形に小さく切り、これを摘んで折りたたみ、組み合わせることによって、花や鳥の文様をつくる伝統工芸です。
今回は、介護施設でつまみ細工のレクリエーションを行う、竹内さんのレクリエーションを見学、そしてインタビューをさせていただきました。
つまみ細工講師だけでなく、講演活動や他にもさまざまな活動をされている竹内さん。
なぜ、つまみ細工講師として活動されているのか。
竹内さんの活動に対する想いを聞いてきました。<聞き手=後藤>

つまみ細工講師|


日本つまみ細工コーディネート協会 認定講師
レクリエーション介護士2級
幅広い世代に「つまみ細工」をお伝えし、楽しみ、喜び、生きがいを感じる教室を開催。
自身の子に発達障害があり、過去の育児鬱生活から人前に出るきっかけとなった「自分らしく生きる」をテーマに、講演活動を行う傍らで、介護施設でもレクリエーションを開催し、活動している。

介護施設でレクリエーションを行う難しさ


後藤: 介護施設でレクリエーションを行おうと思ったきっかけを教えてください。
竹内: 元々資格を持っておらず、自宅で主婦の方を相手に教室をやっていました。
きっかけは、えぶりプラスさんに声を掛けてもらったことです。
自分のやっていることが介護の現場で必要とされていることを知りました。
高いお金を払い、時間を投資して資格をとった人が多くいるのに現場で活躍できていない
そんな人達が活躍できる場所を作りたいという、えぶりプラスさんの想いに共感し、介護施設でつまみ細工のレクリエーションを始めました。
後藤: 教室で教えるのと、介護施設で教えるのとでは、どのように違いますか?
竹内: 違いはかなりありますね。様々な介護度の利用者様がいる中で、どのレベルに合わせればいいのか、試行錯誤の連続でした。
今は着物を着て活動していますが、始めの頃はスーツを着て施設に行っていました。
ある日、男性の利用者様にスーツを引っ張られ、「ばかやろー」「帰れ」と怒られたことがあり、ショックを受けたことがあります。しかし後日、スタッフさんから、その方は、不安になると大声を出してしまうことがり、私が何をする人なのかが分からず不安だったことが原因だと知りました。
何をしてる人なのか、分かって頂きやすくなるにはどうすればいいんだろう?と考えていた時、母に自分の着物を着ないかと言われました。
親孝行の意味も込めて、着物を着てレクリエーションを行うようになったのですが、おかげで何をしてる人なのか?すぐに覚えてもらえるキッカケにもつながりました。
さらに、着物につまみ細工を付け、注目されることで自分が何をする人なのかをはっきりさせました
施設の利用者様の中には着物を作ったり、機織りをしていた方もいるので、まだお互いに初めましての状態でも、会話のきっかけにもなり、今では「次はどんな着物で来るの?」と着物姿も含めて楽しんで頂けてるかなと思います。

子育ての挫折


後藤: 講演活動など様々な活動をされているのには、何か動機がありますか?
竹内: 子供が2人いるのですが、一人は発達障害がありコミュニケーションがうまくとれません。
もう一人は目が開かない病気です。
私はもともと、
ソフトボールの実業団の選手で十風満帆な生活を送っていましたが、唯一こなせなかったのが「子育て」でした。
そのストレスを発散するために字を書き始め、顔彩を使い文字と絵を合わせたものも書き、結婚式のウェルカムボードや出産祝い、新郎新婦のポエムなどを作成していました。
ちょうどその頃、あるおじいちゃんに日本風のものを作って欲しいと言われ、日本風のものがどのようなものか、わからずに辿り着いたのがつまみ細工でした。
人に頼まれたことが仕事になり、この道が開かれました。
今は自分を表現できていますが、一時はできていなかったなと思います。
子育てを通じて、これまでにはなかった色々な世界を見ることができるようになり、苦労もしましたが、子供にはとても感謝しています。

ボアランティアの壁


後藤: えぶりプラスを利用する理由を教えてください。
竹内: 個人で施設と契約を結ぼうと考えたこともありますが、個人ではなかなか厳しいです。
理由は、施設のレクリエーションは、ボランティアが根付いていることが多く、個人で行くとボランティアだと思われてしまい、講師料はなし、材料費100円でお願いします。と言われたこともありました。

えぶりプラスさんは、ボランティアではなく、レクリエーションに対価を払うという方針です。
やはり、自分自身、モチベーションを保ちながら、プロ意識を持ってやっていくには、ボランティアで赤字を出しながらもこの活動を続けるのは厳しいなと思っています。

今後は、価値あるレクリエーションには対価を払うというメリットを施設側も理解する時代だと思います。
後藤: 最後に一言お願いします。
竹内: 介護施設は人生最後の場所だと思われる方が多いです。
認知症だからできないことが増えていくのではなく、できることもある
その一つとして、つまみ細工で作品を作れる楽しさがある、ということを知って欲しいです。

インタビューを終えて

子育ての挫折を経て、介護の現場で活躍されている竹内さん。
人に頼まれたことが仕事になり、活動の幅を広げ、多くの人に影響を与えておられます。
僕も、竹内さんの今後の活躍を期待しています。

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